国語が得意な人が英語も得意になれる理由

国語や社会は得意なのに英語が苦手。

昨今の英語重視の流れの中で、こうした受験生への風当たりは厳しく、英語ができない受験生は受験生に非ずとも言いたげな社会状況です。私が高校生の時に「不合格になる受験生のタイプ」というプリントが配布され、

国語や社会が得意で英語が苦手

とまさに自分のことが書かれていて、衝撃を受けた記憶があります。

しかし、国語が得意な人は、英語も得意になれる才能を秘めています。

私も以前は公立高校の入試問題で10点台、高校の定期試験で赤点、現役時のセンター英語(筆記)は200点中86点という有り様で「英語なんてこの世から無くなればいい」と思っていました。またどこかで「自分には英語の才能がない」とあきらめていました。

そんな私でも浪人後のセンター試験では、なんと9割近い得点を取ることができました。まだまだ英語が自在に操れるレベルには程遠いですが、英語に対する抵抗感はなくなり、もっと勉強したいと思うようになりました。そのおかげで筑波大学や早稲田大学、学習院大学、明治大学、中央大学などに合格することができました。

今回の記事では、国語が得意な人に「英語の才能がない」なんてことはありえないといえる理由を説明させていただきたいと思います。

あなたには言語の才能がある

ここで一つ思考実験をしてみましょう。

仮に、あなたがアメリカに生まれ、英語ネイティブスピーカーの両親に育てられ、アメリカの小・中学校を卒業し、アメリカの高校に通っていたとします。

それでもあなたは日本語が得意で英語が苦手になるでしょうか。おそらくそんなはずはなく、いま第一言語である国語(日本語)がとても得意であるのと同様に、その場合のあなたは第一言語である英語がとても得意になっているはずです。

そういうふうに考えると、あなたの中に英語の才能はちゃんと存在していることがわかります。

もっと正確に言うと、人間には生まれ持った「英語の才能」や「日本語の才能」、あるいは「中国語の才能」「フランス語の才能」「ドイツ語の才能」みたいなものは存在せず、生まれついての素質と言うものがあるとすればそれは「言語の才能」といえるものだけです。この「言語の才能」はあらゆる言語に共通する才能だと考えられています。

一方で、日本語・英語・中国語・フランス語・ドイツ語などの個別の言語は、その「言語の才能」をもとに生まれた後の経験≒訓練によって引き出されたものです。幼いころから国語が得意だったあなたはおそらく生まれ持った「言語の才能」が高いと思われます。この高い「言語の才能」をもって英語の訓練をすれば、飛躍的に成績が向上することは間違いないでしょう。

国語が得意な人は基底共有言語能力(CUP)が高い

ここで下の画像を見てください。

この図はあなたの言語の能力を模式的に示したものです。青い海に向こうにに大きな国語力の島(黄色)と小さな英語力の島(赤)が見えます。こうしてみると、あと1年で英語の苦手を克服するなんで難しく思うかもしれません。

しかし、あなたの本当の能力は言語能力は次の図のようになっています。

人間の言語能力はどんな言語であっても基底の部分は共通していると考えられています。基底共有言語能力は具体的に言うと、難しく抽象的な概念を理解したり、筆者の言いたいことをすばやく的確に捉えたり、論理的に物事を考えたりする、そういう能力のことです。このような能力は日本語でも英語でもあらゆる言語に共通しています。

ということは、国語が得意な、つまり基底共有言語能力の高いあなたは、英語でもこの能力を発揮できるはずなのです。

逆に言うと、国語ができないけど英語は得意という人は帰国子女でもない限り(つまり、教科の成績としてではなく言語として日本語よりも英語のほうが得意な人を除き)、文章のレベルが上がるにつれて「何を言っているのかがわからない」「日本語訳をみても日本語の意味がわからない」という状態になっていきます。当然ですが大学入試の英語は日常会話文ではなく硬派な評論文が中心です。大学生に求められるのは留学生とたのしくお話することではなく、論文を読みこなす英語力ですから当然ですよね。

そして、表面上の言語力と基底共有言語能力では、表面上の言語力のほうが圧倒的に早く伸びることが知られています。ですから、あなたも表面上の言語力を早く伸ばして、一気にライバルを追い抜きましょう。

「習うより慣れろ」ではなく「習ってから慣れろ」

ところで、こんなにも言語能力が高いはずのあなたがどうして英語に苦手意識を持ってしまったのでしょうか。

いまの日本の英語教育の主流は、「習うより慣れろ」「英語で授業」「英語にたくさん触れよ」「日本語での説明は不要」という流れになっているように感じます。

もちろん、「慣れ」というのは言語の習得においてとても大切な段階で、決して欠かすことは出来ないですし、細かい説明を嫌う人も多いので、この方法はあながち大間違いとも言えません。

抽象的な文法の説明を理解するには高い言語能力が必要です。ましてやはじめて英語を学ぶ小中学生の年齢ならばなおさらで、まず「習うより慣れろ」式で学ぶというのは仕方がないことなのかもしれません。

しかし、基底共有言語能力が高いあなたは、複雑な説明を理解できる力を持っています。そんなあなたはおそらく英語の授業ではじめて「先生の言っている意味がわからない」「教科書に書いてあることの意味がわからない」という経験をしたのではないでしょうか。そのせいで英語の授業・英語の勉強が嫌いになってしまい、勉強時間も他の教科に比べて少なくなってしまったのではないでしょうか。

そういう人は理屈から入ったほうがいいです。まずは訳せなくても、話せなくても、英語がどういう言語なのかを勉強しましょう。具体的に言うと、最初に必ず勉強してほしいのは発音・品詞・五文型です。

幸い英語について日本語で詳しく説明してくれている本はたくさんあります。国語が得意なあなたなら、難なく読みこなし、英語の仕組みについて理解できることでしょう。

ここまでくれば、やっぱり最後は「慣れ」です。同じ「慣れろ」「量をこなせ」でも、なにもわからなかったあのころより、心理的抵抗は軽減しているはずです。 英語というしくみと英単語になれてくれば、もともとの基底共有言語能力は高いのですから、難しいテーマの文章も難なく読みこなせます。

こうなれば、もう英語は「得意」の領域に到達しているはずです。

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